ディープテックの資金調達というトピックで5月26日にXTC JAPANのミートアップが開催されました。その時の様子を今回の記事ではご紹介します。
こんな方におすすめ
- 今後ディープテック関連で資金調達を目指している方
- テクノロジーは持っていて、今後資金調達をするか迷っているテック起業の方
- 調達のピッチをどう作っていいかわからない方
XTC JAPAN Meet Up とは
XTCとはグローバル課題に取り組む起業家のための世界最大のスタートアップコンテストです。3月にはXTC日本予選が行われ、今まで「グローバル課題の解決」をテーマにSDGsを通じてスタートアップが世界のビジネスと直結できるピッチコンテストを例年開催してきました。日本予選の上位2社は、グローバル企業46社がメンター&審査員を務めるXTCグローバル決勝ラウンドにシード出場するチャンスを得ることができます。
そのXTC世界大会に先んじて、開催されたのが「XTC JAPAN Meet Up」です。
今回は、「ディープテック」を取り扱う企業がどのように資金調達に対して向き合い、具体的にどのような課題を持つのかを数多くのスタートアップ事業立ち上げに参画してきた春日氏が解説しました。
今回のミートアップではスタートアップが課題を持つところに対し、具体的にどのような解決法があるのかについても解説を行っています。
XTC JAPAN Meet Up のスピーカー
春日氏は学生起業を経た後、米国大学院に留学、IBM研究所を経て現在では20年以上に渡り、国内外のスタートアップ事業の立ち上げをサポートしています。またIT-Farmジェネラルパートナーも務めています。
IT-Farmはアーリーステージの革新的技術が専門のVCであり、投資ポートフォリオとしては北米が7割程度、欧州とイスラエルが2割、アジアが1割程度になっています。
1980年代より9つのファンドに渡り100社以上のスタートアップの事業開発を支援してきました。現在はXTCの公式グローバルパートナーとなり、XTC運営にも携わっています。
IT-Farmはアーリーステージの革新的技術が専門のVC(ベンチャー・キャピタル)であり、投資ポートフォリオとしては北米が7割程度、欧州とイスラエルが2割、アジアが1割程度になっています。1980年代より9つのファンドに渡り100社以上のスタートアップの事業開発を支援してきました。
ディープテックとは?
今回のテーマの「ディープテック」は、IT-Farmの投資ターゲットとして切っても切り離せない存在になっています。ディープテックとは「科学的な発見や革新的な技術に基づいて、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組み」のことをさします。
ディープテックが注目される背景
近年、起業のテーマとしてシェアリングエコノミーやモバイルゲームといった技術的な進歩が少なく、ビジネスモデルの変革、改良を試みたスタートアップは多く生まれてきました。しかし、技術革新に注目してそれを主軸としたスタートアップが再評価されるようになってきたことがディープテック注目の背景にあります。
ディープテック資金調達によくある悩み
春日氏の解説では資金調達においてスタートアップ創業メンバー達が、どのような課題を資金調達の段階で持つのか具体的に説明されていました。
まず春日氏がスタートアップが悩むこととしてよくあるもので取り上げたのは「技術用途がありすぎるため説明が難しい」点です。
ディープテックは特性上、「なんでもできる」ものが多いのが特徴です。例えば3Dプリンターもディープテックの一つの例でありますが、その汎用性があるために事業がぼんやりすることが悩みとして多いようです。3Dプリンターであれば、小物から大きな家までなんでも作ることができるようになっています。そのため、創業メンバーはどの課題から取り組んでいくのかを悩む傾向にあると春日氏はいいます。
他にも悩んだ結果ビジネスストーリーがぼやけてしまい、結局何に注力して事業を進めるのかを説得力ある形で投資家に伝えられていないケースがあるようです。またディープテックの技術はそもそも技術自体が高度であるために、技術の素晴らしさについて投資家が理解できないケースもあるとのこと。
調達ピッチの解決策
そのような場合は春日氏曰く「どのように変わるか」を伝えるのが効果的なのだそう。
スタートアップ創業者は技術の素晴らしさを理解しているが故に技術についてばかり話してしまい、例えば、「A社に比べて生産スピードが〇〇%高く、B社に比べて技術の安定性が〇〇%高い」のように語ってしまう傾向にあります。
ただ、この場合投資家は〇〇%高いから何が変わったのかわからないことが多いようです。前述のように語るのではなく、「A社の機能ではできなかった〇〇という機能ができる」や「B社の場合〇〇という機能を付けるしかなかったが、弊社では〇〇を付けずに安定的に機能することができる」のように定性的なことを訴えるのが効果的なようです。
詰まるところ、定量的に理解している優位性を言語化し、定性的メリットに落とし込み誰にでもわかるような形で伝えることが効果的だということです。
調達ピッチのテクニック
また春日氏がテクニックとして紹介したのは、大事なところから伝えていくということです。一聴すると誰もが理解していることかと思いますが、独自性と機能性の説明の順序を誤っている起業家が多いことを指摘として上げました。
機能性から説明をしてしまう起業家が多いために、独自性の重要な部分で優位性がある部分が投資家に伝わっていないことがあるそうです。
例えば、起業家自身はプロダクトやサービスの機能性を十分に理解しているが故にどれほど自身のプロダクト、サービスの機能が素晴らしいかを重点的に話しがちです。
しかし投資家にとっては機能性は独自性のおまけのようなもの。本当に知りたいことは、そのプロダクトやサービスがマーケットの中でどのポジションを取りに行くのかということなのです。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。XTC JAPAN Meet Upの後、2022年6月14日には米国サンフランシスコでXTCグローバル決勝が開催されました。こちらのイベントレポートも今後本サイトにて、ご紹介していきます。
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