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CanvaやDapper Labsを生んだ投資家が語る、メタバースの他に期待できる分野
xtc

メタバースが話題になっていますが、他に着目する分野にはどういったものがあるのでしょうか。インターネット黎明期にも、時代を同じくしてイノベーションが進んだ分野があるように、その進化を見過ごしているかもしれません。

記事のPart1では、仮想通貨やNFTなど、クリプトと呼ばれる新しい価値。これらは、我々人類の生活に一体どのように関わり合っていくのか、について。Part2では、メタバースの世界が発展するとともに、資産形態や経済の仕組みが変容しつつあることについて語られました。

»クリプトが行き着く先は「コミュニティ」になる。伝説のVCビル・タイが語った「新時代の価値」とは?

»Robloxの台頭が示すもの。これからのメタバースは、バーチャルエコノミーによる“新しい経済”を加速させる。

2000年代にセカンドライフに投資を行い、CanvaやTwitterなど、さまざまな企業を生み出してきたエンジェル投資家・XTCの共同創設者でもあるBill Tai(ビル・タイ)は、「伝説のVC」とも呼ばれています。指数関数的に成長するトレンドを見極める専門家でもあり、ZoomやDapper Labsなど、上場した20社以上の企業にエンジェル投資をしてきました。

今回は、Real VisionのCEO Raoul Pal(ラウル・パル)を聞き手に、メタバース以外で期待できる分野について語った内容をお届けします。

※本記事は、2021年7月、YoutubeチャンネルReal Vision Financeで語られた内容のPart3(Part1-3)です。Youtubeでも「VC Legend Bill Tai: The “New Era” of Valuations」の題名でこちらの記事の元となった動画が閲覧できます。

記事の登場人物

Bill Tai(ビル・タイ)
エンジェル投資家、Charles River Ventures 名誉パートナー、カーティン大学非常勤教授。Extreme Tech Challenge(XTC)共同設立者。

1991年からベンチャーキャピタルとしてスタートアップに出資し、22社を上場させる。また、創業期に出資した8社の上場企業にて取締役を務める。半導体設計者としてキャリアを開始し、半導体産業の巨大企業TSMCに従事。イリノイ大学にて電子工学学士課程を優等で修了、ハーバード大学でMBAを取得。Treasure Data(ARM/Softbankが買収)、IPInfusion.com(東京証券取引所:4813)、iAsiaWorks(ゴールドマンサックスとモルガンスタンレー経由でIPO)を共同設立し、Hut8 Mining(NASDAQ:HUT)の取締役会長も務める。Canva、Color Genomics、Class.com、Dapper Labs (Cryptokitties / NBA Topshot)、Safety Culture、Tweetdeck/Twitter、Zoom Videoを発掘し、創業期から伴走するシード投資家の一人。ACTAI Globalの共同設立者。環境保護・起業による経済力向上を支援するAthletes Conservationists Technologists Artists & Innovatorsを運営する。

raoul

Raoul Pal(ラウル・パル)
Real Vision Group&GlobalMacroInvestorのCEO兼共同創設者

ロンドンのGLGグローバルマクロヘッジファンドの共同マネージャーを務め、2004年にファンド管理を引退、2005年1月にGlobalMacroInvestorを設立。2008年から2009年の住宅ローン危機を予測した数少ない投資家の1人でもある。ロンドンを拠点とするヨーロッパのゴールドマンサックスで株式および株式デリバティブのヘッジファンド販売の共同責任者も務める。

再構築すべき医療の分野

クラウド上でデータを管理することが次のスタンダードへ

ラウル いままで大きなトレンドをいち早く察知し、さまざまな企業に投資されて来られました。デジタル資産の世界についてお話しましたが、他にはどのような分野に注目されていますか。今後10年間に起こるであろう大きなトレンドは何になるでしょう。指数関数的な伸びを見せようとしている分野について教えてください。

ビル 今まさに再構築すべき分野のひとつは、医療だと思っています。

私もDyadという企業でプロジェクトを持っていて、ケンブリッジ・アナリティカという企業から主軸となるデータサイエンティストを引き抜きました。彼らはデータのパターンを理解し、エンゲージメントや反応から成果を出すことにとても長けていたのです。私の取り組んでいるプロジェクトでは基本的に、データサイエンスのスキルを応用して、データの観点からヘルスケア業務の効率を変革しています。

以前に、データサイエンスを使用していない古い企業、たとえばJCPenneyやSearsのような小売業が、自分たちが抱えている課題を知らないという話をしたと思います。在庫は浮遊しており、毎年評価損を計上しています。

それとは対照的に、AmazonやWalmartは基本的にデータサイエンスのクラウドで、末端の商品はどこにあるのかすべて把握しています。この運転資本モデルは、旧来のものと比べて変革的なものです。古いシステムのままの企業は倒産し、WalmartやAmazonは成長しました。このような効果は、医療記録や請求書など、モノが移動するあらゆるタイプのビジネスにも適用されるでしょう。今、これらの企業が意識していることがあります。それは他企業との提携です。

時価総額70億ドル超えのチェンジ・ヘルスケアという上場企業があります。大企業は皆、スタートアップに参入したがるので、イノベーティブな若者に飢えています。バーチャルエコノミーやクリエーターエコノミーの影響で、企業が優秀な人材を採用できないため、若者とパートナーを組むしかないのです。これらの企業での提携が進んでいるのは興味深いことです。

電力分野は、移行期に入っている

過去の事例が示す、経済効果

ビル もうひとつは、電力、発電と消費、そしてその処理方法についてです。

通信事業が規制緩和されたときのことを考えると、かつては固定電話のようなものがあり、そのインフラに多くの資金が投入されていました。そして、電話線に流れる情報を、識別し、1本の回線に多くのものを多重化させると、インターネット上にISPが登場しました。

ガレージにいる子供でもルーターを買ってきて電話線に貼り付ければ、自分が電話会社になって近所の人たちにデータサービスを売ることができるようになったのです。

その時代、1990年代にPortal Softwareという会社がありました。そこでは、すべてのISPがソフトウェアを購入するための課金システムで、通りを歩いている人が使っている帯域幅の分だけ課金できるようになっていました。その会社は、何もないところから、あっという間に時価総額100億ドルになったのです。

電力でいま何が起きているかというと、誰でも屋根にソーラーパネルを載せて生産者になれる電力の移行期にあるということです。あのISPと同じです。少なくともアメリカでは、1996年の電気通信法のような規制改革が必要です。そうすることで、ピア・ツー・ピアのエネルギー供給が可能な地域も出てくるでしょう。

電力の分野に関しては、シード・エンジェル投資家として、私はPower Ledgerというオーストラリアにあるソーラーパネルの会社に出資しています。若者や中年の起業家と一緒に面白いプロジェクトを立ち上げ、それが成功すれば、経済圏が再定義されるので、すべてが変わるだろうと期待しています。

ラウル もし私たちが電子の世界に移行しているとしたら、電子を自由にすればするほど、経済も自由になりますね。

ビル そうですね。石油経済を考えてみると、ごく一部の場所に集中していたものでした。軍隊や物理的に土地を所有している人たちだけが経済的な生産性を持っている世界を想像してみてください。設備投資もかなり重く、ビジネスに参入するのは困難です。今は、ピアツーピアのように、誰でもある程度の規模で生産者になることができます。資産をあまり持っていない大規模な人口集団では、同じように変革が起こるでしょう。

raoul

ソフトウェアビジネスで起きている変化

イノベーションが世界に大規模な変化をもたらす

ビル ソフトウェア経済は今でこそGDPの大きな部分を占めるようになりましたが、かつては物理的な活動の中で経済が動き、人々はものを売るために、物理的なものを作る必要がありました。パソコンを作ったマイクロソフトはソフトウェア経済の良い事例です。売上は天文学的な数字にのぼるでしょう。

ソフトウェアのビジネスについて考えてみると、何かを理解して新しいコードを書き、かつては開発者として開発しなければならず、労働集約的で大変なものでした。今、ソフトウェア開発は本を書くことではなく、オープンソフトウェアなどがあり、以前よりも開発が楽になっています。他の人が作成したコードの段落をコピーペーストして、変数を入れ替えたりしているわけです。

第4次産業革命における今日の生産性の世界は、まさにソフトウェアがすべてです。GitHub、GitLab、Specialty、Zebra、コードベースなど、あらゆるリポジトリに、たくさんのコードの断片が存在します。そこに何があるのか、誰も知らないのです。初歩的なカタログはありますが、世界最大の倉庫に、ラベルのない歯車やエンジン部品の箱が並んでいるようなものです。

でも、それらがそこにあることは分かっていて、ギアを作る必要はなく、ただそれらを組み合わせて組み立て直せばいいのです。そのようなものがすべて明確に分類され、どこに何があるのかがわかるようになっているとしたらどうでしょう。あれをくれ、これをくれと言うだけで、次々とコードが組まれ、あっという間にソフトウェアの開発が完了します。例えるなら、検索ナビゲーションとディスカバリー機能が優れていれば、その生産性は完全に変わると思います。

アンディ・ベヒトルスハイムはSun Microsystemsの創業者の一人で、セルゲイ・ブリンとラリー・ページに10万ドルの小切手を送り、Googleの創業に貢献しました。彼は、後にシスコの重役になっています。アンディ・ベヒトルスハイムと私、そしてZOOMを創業したエリック・ユアンは、ある会社の最初のエンジェル投資家で、この会社はソフトウェアについて、このような魅力的なコンセプトを持っていました。

ラウル そこにAIが入ると、とんでもなく強力になりますからね。

ビル ええ、私たちの投資先企業の開発もその一歩手前です。前回、「通常、私が何かを考え抜くときは、それが実現するまでに7年待たなければならない」とお伝えしましたが、この企業は、昨年の2020年に資金を調達をしています。一歩手前と言っても、しばらくは時間がかかると思いますが、このようなイノベーションが世界に大規模な変化をもたらすでしょう。

bill

デフレに直面しても爆発的に成長する企業の特徴

新しいユースケースを手に入れ、非常に使いやすいものにし、再現性あるものにする

ラウル 私たちは、明らかに破壊的な技術の登場を目の当たりにしてきましたが、なぜこれほどまでにGDPが伸びないのでしょうか。

ビル 前にも言いましたが、デフレが原因です。経済活動がより効率的になったため、そのコストを下げるという緊張関係が常に存在します。そして、市場の弾力性は、それが何であれ、その単位が低価格になれば、採用率は上がりますが、人々の行動をそれに合わせるようにしなければなりません。 ここには世代間のギャップもあります。

たとえば、小切手を預けるために子どもを連れて銀行に行っても、「小切手の写真を送ればいいんじゃない?」となって、すべてインターネット上で完結するのに、大人が銀行の支店に行くこと自体、彼らにとっては博物館に行くことの様なもので、行く理由がわからないでしょう。

ラウル 古いものを新しいものに置き換える場合、新しいものの方が生産性が高いにもかかわらず、価格が低くなってしまうということもありますね。おっしゃる通り、ベビーブーマー世代が非常に多いので、この世代は多くの新しい製品に対して非アダプターになります。しかし、ベビーブーマー世代のライフサイクルが終えられれば、今度はすべての地域で新技術の導入が進みます。

アメリカにはベビーブーマーが7,600万人いますが、そのうちの何人かはこの新しいシステムのアダプターに該当しています。 今のベビーブーマーの平均年齢は68歳です。彼らがほぼ全員労働力人口から抜ける時期にさしかかるので、これから一定期間、労働力率の数字が悪化しそうです。経済にとっても影響が及ぶでしょう。彼らの所得がわかりやすく減少するので、かなりのデフレになります。

一方で、新しい世代に向けて、デフレによる消費不足を補うためには、新しい巨大なテクノロジーを活用してさまざまな世界で新しい仕事を生み出していくことが重要になるでしょう。

ビル そうです。団塊の世代にデフレの山がある一方で、新しい世代は、経済的要素の成長率が天文学的で、20年前には理解できなかったような成長率に達していることも明らかです。

私はデジタル技術の投資について、新たなユースケースを見つけ、そのユースケースの省力化をするためにデジタル技術をどのように活用するかということをよく考えています。省力化ができれば、より多くの利用が可能になります。そして、それを再現性の高いものにすること。そして、拡張性の高いものにすることです。

ZOOMにしても、Dapper Labsにしても、Canvaにしても、私がDyadやPower Ledgerでやろうとしていることにしても、私が見つけた企業はすべて同じ特徴を持っています。それは、新しいユースケースを手に入れ、非常に使いやすいものにし、再現性あるものにすることです。 20年前にできたことや市場の大きさに比べて、成長したときの伸び率は驚異的です。

半導体チップを作っていた頃、私はLSIコーポレーションにいました。そこではIBM PCJr.のチップセットが作られていたのです。当時、IBMはPCのライオンシェアで、大きな注文にいたっては100万台ほどあり、市場にある数百万台のPCに向けて、グラフィックカードを売ろうとしても、20%のシェアが取れるかもわからない状況。

年間を通じて20万台かもしれないし、100万台かもしれない。ミッチ・ケーパーのように「Lotus 123」を作るソフトウェア開発者だったら、大ヒットし、全コンピュータのシェア40%を手に入れ、そのソフトを1枚100ドルで1年間で10万台ほど売れるかもしれません。「KaBlam!」の様な、いいヒット商品が出れば、市場は本当に指数関数的に大きくなっていきます。

その市場に到達する能力も、今日では指数関数的に容易になっています。アップルストアのようなあらゆる流通機構も、当時はまだ存在していませんでした。大きな市場、高い成長率、高い倍率、金利や経済の一部がどのような水準に設定されようと、デフレに直面しても、私たちの周りで爆発的に成長し続けるのだと思います。

bill&raoul

コロナ禍で、爆発的な成長を見せたZOOM

デジタルネットワークがプラットフォームになり、コミュニティになる

ラウル ZOOMへの投資は世界にとっても大きなターニングポイントになったと思います。誰もが自分の姿をデジタルで表現できる新しいテクノロジーが登場し、人々が気軽にチャットできるように時代が変化しました。新型コロナウィルスの影響もあり、世の中の状況が変わり、多くの人が使用するようになりました。当時、顧客獲得のスピードはどの様なものだったのでしょうか。

ビル ええ、それは驚くべきことでした。2019年12月、新型コロナウィルスが認知される前の年のことを覚えています。新型コロナウィルスは存在していましたが、人々はそれが何になるのかよく分かっていなかったからです。

その年は、ZOOMのインフラが1日約1,000万件のミーティングに接続され、件数としては増加しました。翌年の2月からは、一気に伸びたと記憶しています。その月は、1日2億件のミーティングへと急増しました。

Dapper Labsに出資したとき、先日みんなと思い出したのですが、私は船に乗っていて、オーストラリアのジェラルトンにある港から出港する準備をしていたんです。ジェラルトンに行くには、ここサンフランシスコからシンガポールまで20時間くらい飛行機に乗って、一泊したり休憩したりした後、さらに6時間飛行機に乗ってパースへ行き、そこから車で7時間北上してジェラルトンに行かなければなりません。船で出発しようとしたら、Dapperを始めたロハム・ガレゴズロウが、「おい、予定が入ったぞ」と。船上でZOOMを使って彼と話し、Dapper Labsに資金を提供する契約を取り交わしました。

すべてはZOOMのおかげです。私の世界はとても自由でバーチャルなものになり、1年間あちこちでカイトサーフィンをしながら、どこにいても会社に資金を提供できるようになったのです。

ラウル ZOOMが爆発的に普及し、誰もが「これは過剰に評価されている」と思うようになった段階もありましたが、この話で興味深いのは、今あるユースケースは、このネットワークが使えることのほんの一部に過ぎないということです。

なぜなら、ZOOMは巨大なネットワークになったからです。 このネットワークは、たまたまビデオを中心に構築されたものですが、デジタルネットワークであるため、将来的にどのような価値があるのかというと、このネットワーク自体が価値になります。Amazonも本から始まりましたが、本を売ることが目的ではありませんでしたし、ZOOMもオンラインミーティングの普及がビジネスの目的ではないでしょう。

ビル そうですね。ZOOMは今やプラットフォームです。ZOOMがアプリストアとSDK(ソフトウェア開発キット)を開発し、人々がそれを利用できるようにするという発表を過去に見たことがある人もいるかもしれません。先月、ZOOMはベンチャーファンドの発表をしました。ZOOMの上で何かを作っている開発者がたくさんいるので、現在その小さなグループにも資金を提供しています。たとえば、その中には「Class Tech」があります。

また、コミュニティ構築の一部はコミュニケーションであり、コミュニケーションはコミュニティの基礎となります。 コミュニティがあれば、コマースができ、さまざまなトピックの垂直型のコミュニティができ、それ自体が自己生成的な経済となります。

ある意味、ZOOMは、世界中に一連のコミュニティを構築することを可能にします。アプリ開発者ファンドを発表したとき、小さなウェブページを立ち上げて、人々がアプリケーションと構築するものを入力できるようにしたんです。数日後には200社へ到達しました。 AppleのApp Storeのような規模になるかどうかはわかりません。しかし、誰もがZOOMを使っています。今は、自分たちに力を与え、何かを生み出すことができる関心のあるコミュニティがたくさんあります。

私はPledgelingという小さな企業にも資金を提供しましたが、その企業にはそのような取引を可能にする小さな技術があります。ZOOMバーのウィンドウに、「今すぐ寄付したいですか」と表示され、このプラグインをクリックすると、サイドバーに「ラウル・ポールが〇〇チャリティーに募金しました」と表示されるのです。

あらゆる種類の経済活動がデジタル技術によって解放され、それが指数関数的に進んでいるのです。

ZOOMのおかげで、資本のコスト構造、効率がずっとずっと良くなり、事業創造への資本の適用、オペレーションを走らせることができるようになるのも面白いことです。新型コロナウィルスの危機が去ったから、ZOOMを使おうとは思わない。もうZOOMを使うのをやめようと思うことはないのです。

ラウル この時代に生きているのは本当に幸運なことです。私たちはこの壊れた金融システムと多くの悲観主義の世界に生きてきました。しかし今、買う権利は売る権利よりも価値が高くなっていることがわかり始めています。

ビル ええ、このフレーズは大好きです。私がIVPのベンチャーキャピタリストだったとき、創業者のリード・デニースがよく言っていたことを思い出します。「正直言って、本当に幸せで裕福な悲観主義者はあまり知らない」ということです。楽観的に人生を歩むということは、とても大切なことなのです。大好きな言葉です。

日本のスタートアップが、ビル・タイのように力のあるスーパーエンジェル投資家と出会い、シリコンバレーという舞台から世界のエコシステムに参入できるチャンスはどのくらいあるのでしょうか。

将来的に起業を志す多くの起業家が、XTCを活用し資金調達やネットワークを得ることによって、社会的な課題の解決に向けて大きな貢献を果たす……そんなヴィジョンを思い描き、ビル・タイとヤン・ソンは、XTCを創設しました。

XTCの日本予選を勝ち抜くと、グローバルコンペでXTC創業者のビル・タイ、そしてヤン・ソンとの出会いがあります。そしてXTCのグローバル大会で2人に見出されたCanvaのように、日本のスタートアップが世界的なユニコーン企業になる未来も待っているかもしれません。

起業相談はGaiax STARTUP CAFE!

NEXTAパートナー企業の、株式会社ガイアックスは社会課題解決事業をサポートしているスタートアップスタジオです。
ガイアックスの実施しているSTARTUP CAFEでは、「ビジネスアイデアはあるけど次のステップがわからない」、「そもそも自分のアイデアの価値を知りたい」といった相談を無料で受け付けています。
事業相談はもちろん、良い事業案にはバックオフィス支援から出資まで実施しています。
起業を考えている方は年齢に関わらずお気軽にご相談ください!

XTC
CanvaやDapper Labsを生んだ投資家が語る、メタバースの他に期待できる分野
xtc

メタバースが話題になっていますが、他に着目する分野にはどういったものがあるのでしょうか。インターネット黎明期にも、時代を同じくしてイノベーションが進んだ分野があるように、その進化を見過ごしているかもしれません。

記事のPart1では、仮想通貨やNFTなど、クリプトと呼ばれる新しい価値。これらは、我々人類の生活に一体どのように関わり合っていくのか、について。Part2では、メタバースの世界が発展するとともに、資産形態や経済の仕組みが変容しつつあることについて語られました。

»クリプトが行き着く先は「コミュニティ」になる。伝説のVCビル・タイが語った「新時代の価値」とは?

»Robloxの台頭が示すもの。これからのメタバースは、バーチャルエコノミーによる“新しい経済”を加速させる。

2000年代にセカンドライフに投資を行い、CanvaやTwitterなど、さまざまな企業を生み出してきたエンジェル投資家・XTCの共同創設者でもあるBill Tai(ビル・タイ)は、「伝説のVC」とも呼ばれています。指数関数的に成長するトレンドを見極める専門家でもあり、ZoomやDapper Labsなど、上場した20社以上の企業にエンジェル投資をしてきました。

今回は、Real VisionのCEO Raoul Pal(ラウル・パル)を聞き手に、メタバース以外で期待できる分野について語った内容をお届けします。

※本記事は、2021年7月、YoutubeチャンネルReal Vision Financeで語られた内容のPart3(Part1-3)です。Youtubeでも「VC Legend Bill Tai: The “New Era” of Valuations」の題名でこちらの記事の元となった動画が閲覧できます。

記事の登場人物

Bill Tai(ビル・タイ)
エンジェル投資家、Charles River Ventures 名誉パートナー、カーティン大学非常勤教授。Extreme Tech Challenge(XTC)共同設立者。

1991年からベンチャーキャピタルとしてスタートアップに出資し、22社を上場させる。また、創業期に出資した8社の上場企業にて取締役を務める。半導体設計者としてキャリアを開始し、半導体産業の巨大企業TSMCに従事。イリノイ大学にて電子工学学士課程を優等で修了、ハーバード大学でMBAを取得。Treasure Data(ARM/Softbankが買収)、IPInfusion.com(東京証券取引所:4813)、iAsiaWorks(ゴールドマンサックスとモルガンスタンレー経由でIPO)を共同設立し、Hut8 Mining(NASDAQ:HUT)の取締役会長も務める。Canva、Color Genomics、Class.com、Dapper Labs (Cryptokitties / NBA Topshot)、Safety Culture、Tweetdeck/Twitter、Zoom Videoを発掘し、創業期から伴走するシード投資家の一人。ACTAI Globalの共同設立者。環境保護・起業による経済力向上を支援するAthletes Conservationists Technologists Artists & Innovatorsを運営する。

raoul

Raoul Pal(ラウル・パル)
Real Vision Group&GlobalMacroInvestorのCEO兼共同創設者

ロンドンのGLGグローバルマクロヘッジファンドの共同マネージャーを務め、2004年にファンド管理を引退、2005年1月にGlobalMacroInvestorを設立。2008年から2009年の住宅ローン危機を予測した数少ない投資家の1人でもある。ロンドンを拠点とするヨーロッパのゴールドマンサックスで株式および株式デリバティブのヘッジファンド販売の共同責任者も務める。

再構築すべき医療の分野

クラウド上でデータを管理することが次のスタンダードへ

ラウル いままで大きなトレンドをいち早く察知し、さまざまな企業に投資されて来られました。デジタル資産の世界についてお話しましたが、他にはどのような分野に注目されていますか。今後10年間に起こるであろう大きなトレンドは何になるでしょう。指数関数的な伸びを見せようとしている分野について教えてください。

ビル 今まさに再構築すべき分野のひとつは、医療だと思っています。

私もDyadという企業でプロジェクトを持っていて、ケンブリッジ・アナリティカという企業から主軸となるデータサイエンティストを引き抜きました。彼らはデータのパターンを理解し、エンゲージメントや反応から成果を出すことにとても長けていたのです。私の取り組んでいるプロジェクトでは基本的に、データサイエンスのスキルを応用して、データの観点からヘルスケア業務の効率を変革しています。

以前に、データサイエンスを使用していない古い企業、たとえばJCPenneyやSearsのような小売業が、自分たちが抱えている課題を知らないという話をしたと思います。在庫は浮遊しており、毎年評価損を計上しています。

それとは対照的に、AmazonやWalmartは基本的にデータサイエンスのクラウドで、末端の商品はどこにあるのかすべて把握しています。この運転資本モデルは、旧来のものと比べて変革的なものです。古いシステムのままの企業は倒産し、WalmartやAmazonは成長しました。このような効果は、医療記録や請求書など、モノが移動するあらゆるタイプのビジネスにも適用されるでしょう。今、これらの企業が意識していることがあります。それは他企業との提携です。

時価総額70億ドル超えのチェンジ・ヘルスケアという上場企業があります。大企業は皆、スタートアップに参入したがるので、イノベーティブな若者に飢えています。バーチャルエコノミーやクリエーターエコノミーの影響で、企業が優秀な人材を採用できないため、若者とパートナーを組むしかないのです。これらの企業での提携が進んでいるのは興味深いことです。

電力分野は、移行期に入っている

過去の事例が示す、経済効果

ビル もうひとつは、電力、発電と消費、そしてその処理方法についてです。

通信事業が規制緩和されたときのことを考えると、かつては固定電話のようなものがあり、そのインフラに多くの資金が投入されていました。そして、電話線に流れる情報を、識別し、1本の回線に多くのものを多重化させると、インターネット上にISPが登場しました。

ガレージにいる子供でもルーターを買ってきて電話線に貼り付ければ、自分が電話会社になって近所の人たちにデータサービスを売ることができるようになったのです。

その時代、1990年代にPortal Softwareという会社がありました。そこでは、すべてのISPがソフトウェアを購入するための課金システムで、通りを歩いている人が使っている帯域幅の分だけ課金できるようになっていました。その会社は、何もないところから、あっという間に時価総額100億ドルになったのです。

電力でいま何が起きているかというと、誰でも屋根にソーラーパネルを載せて生産者になれる電力の移行期にあるということです。あのISPと同じです。少なくともアメリカでは、1996年の電気通信法のような規制改革が必要です。そうすることで、ピア・ツー・ピアのエネルギー供給が可能な地域も出てくるでしょう。

電力の分野に関しては、シード・エンジェル投資家として、私はPower Ledgerというオーストラリアにあるソーラーパネルの会社に出資しています。若者や中年の起業家と一緒に面白いプロジェクトを立ち上げ、それが成功すれば、経済圏が再定義されるので、すべてが変わるだろうと期待しています。

ラウル もし私たちが電子の世界に移行しているとしたら、電子を自由にすればするほど、経済も自由になりますね。

ビル そうですね。石油経済を考えてみると、ごく一部の場所に集中していたものでした。軍隊や物理的に土地を所有している人たちだけが経済的な生産性を持っている世界を想像してみてください。設備投資もかなり重く、ビジネスに参入するのは困難です。今は、ピアツーピアのように、誰でもある程度の規模で生産者になることができます。資産をあまり持っていない大規模な人口集団では、同じように変革が起こるでしょう。

raoul

ソフトウェアビジネスで起きている変化

イノベーションが世界に大規模な変化をもたらす

ビル ソフトウェア経済は今でこそGDPの大きな部分を占めるようになりましたが、かつては物理的な活動の中で経済が動き、人々はものを売るために、物理的なものを作る必要がありました。パソコンを作ったマイクロソフトはソフトウェア経済の良い事例です。売上は天文学的な数字にのぼるでしょう。

ソフトウェアのビジネスについて考えてみると、何かを理解して新しいコードを書き、かつては開発者として開発しなければならず、労働集約的で大変なものでした。今、ソフトウェア開発は本を書くことではなく、オープンソフトウェアなどがあり、以前よりも開発が楽になっています。他の人が作成したコードの段落をコピーペーストして、変数を入れ替えたりしているわけです。

第4次産業革命における今日の生産性の世界は、まさにソフトウェアがすべてです。GitHub、GitLab、Specialty、Zebra、コードベースなど、あらゆるリポジトリに、たくさんのコードの断片が存在します。そこに何があるのか、誰も知らないのです。初歩的なカタログはありますが、世界最大の倉庫に、ラベルのない歯車やエンジン部品の箱が並んでいるようなものです。

でも、それらがそこにあることは分かっていて、ギアを作る必要はなく、ただそれらを組み合わせて組み立て直せばいいのです。そのようなものがすべて明確に分類され、どこに何があるのかがわかるようになっているとしたらどうでしょう。あれをくれ、これをくれと言うだけで、次々とコードが組まれ、あっという間にソフトウェアの開発が完了します。例えるなら、検索ナビゲーションとディスカバリー機能が優れていれば、その生産性は完全に変わると思います。

アンディ・ベヒトルスハイムはSun Microsystemsの創業者の一人で、セルゲイ・ブリンとラリー・ページに10万ドルの小切手を送り、Googleの創業に貢献しました。彼は、後にシスコの重役になっています。アンディ・ベヒトルスハイムと私、そしてZOOMを創業したエリック・ユアンは、ある会社の最初のエンジェル投資家で、この会社はソフトウェアについて、このような魅力的なコンセプトを持っていました。

ラウル そこにAIが入ると、とんでもなく強力になりますからね。

ビル ええ、私たちの投資先企業の開発もその一歩手前です。前回、「通常、私が何かを考え抜くときは、それが実現するまでに7年待たなければならない」とお伝えしましたが、この企業は、昨年の2020年に資金を調達をしています。一歩手前と言っても、しばらくは時間がかかると思いますが、このようなイノベーションが世界に大規模な変化をもたらすでしょう。

bill

デフレに直面しても爆発的に成長する企業の特徴

新しいユースケースを手に入れ、非常に使いやすいものにし、再現性あるものにする

ラウル 私たちは、明らかに破壊的な技術の登場を目の当たりにしてきましたが、なぜこれほどまでにGDPが伸びないのでしょうか。

ビル 前にも言いましたが、デフレが原因です。経済活動がより効率的になったため、そのコストを下げるという緊張関係が常に存在します。そして、市場の弾力性は、それが何であれ、その単位が低価格になれば、採用率は上がりますが、人々の行動をそれに合わせるようにしなければなりません。 ここには世代間のギャップもあります。

たとえば、小切手を預けるために子どもを連れて銀行に行っても、「小切手の写真を送ればいいんじゃない?」となって、すべてインターネット上で完結するのに、大人が銀行の支店に行くこと自体、彼らにとっては博物館に行くことの様なもので、行く理由がわからないでしょう。

ラウル 古いものを新しいものに置き換える場合、新しいものの方が生産性が高いにもかかわらず、価格が低くなってしまうということもありますね。おっしゃる通り、ベビーブーマー世代が非常に多いので、この世代は多くの新しい製品に対して非アダプターになります。しかし、ベビーブーマー世代のライフサイクルが終えられれば、今度はすべての地域で新技術の導入が進みます。

アメリカにはベビーブーマーが7,600万人いますが、そのうちの何人かはこの新しいシステムのアダプターに該当しています。 今のベビーブーマーの平均年齢は68歳です。彼らがほぼ全員労働力人口から抜ける時期にさしかかるので、これから一定期間、労働力率の数字が悪化しそうです。経済にとっても影響が及ぶでしょう。彼らの所得がわかりやすく減少するので、かなりのデフレになります。

一方で、新しい世代に向けて、デフレによる消費不足を補うためには、新しい巨大なテクノロジーを活用してさまざまな世界で新しい仕事を生み出していくことが重要になるでしょう。

ビル そうです。団塊の世代にデフレの山がある一方で、新しい世代は、経済的要素の成長率が天文学的で、20年前には理解できなかったような成長率に達していることも明らかです。

私はデジタル技術の投資について、新たなユースケースを見つけ、そのユースケースの省力化をするためにデジタル技術をどのように活用するかということをよく考えています。省力化ができれば、より多くの利用が可能になります。そして、それを再現性の高いものにすること。そして、拡張性の高いものにすることです。

ZOOMにしても、Dapper Labsにしても、Canvaにしても、私がDyadやPower Ledgerでやろうとしていることにしても、私が見つけた企業はすべて同じ特徴を持っています。それは、新しいユースケースを手に入れ、非常に使いやすいものにし、再現性あるものにすることです。 20年前にできたことや市場の大きさに比べて、成長したときの伸び率は驚異的です。

半導体チップを作っていた頃、私はLSIコーポレーションにいました。そこではIBM PCJr.のチップセットが作られていたのです。当時、IBMはPCのライオンシェアで、大きな注文にいたっては100万台ほどあり、市場にある数百万台のPCに向けて、グラフィックカードを売ろうとしても、20%のシェアが取れるかもわからない状況。

年間を通じて20万台かもしれないし、100万台かもしれない。ミッチ・ケーパーのように「Lotus 123」を作るソフトウェア開発者だったら、大ヒットし、全コンピュータのシェア40%を手に入れ、そのソフトを1枚100ドルで1年間で10万台ほど売れるかもしれません。「KaBlam!」の様な、いいヒット商品が出れば、市場は本当に指数関数的に大きくなっていきます。

その市場に到達する能力も、今日では指数関数的に容易になっています。アップルストアのようなあらゆる流通機構も、当時はまだ存在していませんでした。大きな市場、高い成長率、高い倍率、金利や経済の一部がどのような水準に設定されようと、デフレに直面しても、私たちの周りで爆発的に成長し続けるのだと思います。

bill&raoul

コロナ禍で、爆発的な成長を見せたZOOM

デジタルネットワークがプラットフォームになり、コミュニティになる

ラウル ZOOMへの投資は世界にとっても大きなターニングポイントになったと思います。誰もが自分の姿をデジタルで表現できる新しいテクノロジーが登場し、人々が気軽にチャットできるように時代が変化しました。新型コロナウィルスの影響もあり、世の中の状況が変わり、多くの人が使用するようになりました。当時、顧客獲得のスピードはどの様なものだったのでしょうか。

ビル ええ、それは驚くべきことでした。2019年12月、新型コロナウィルスが認知される前の年のことを覚えています。新型コロナウィルスは存在していましたが、人々はそれが何になるのかよく分かっていなかったからです。

その年は、ZOOMのインフラが1日約1,000万件のミーティングに接続され、件数としては増加しました。翌年の2月からは、一気に伸びたと記憶しています。その月は、1日2億件のミーティングへと急増しました。

Dapper Labsに出資したとき、先日みんなと思い出したのですが、私は船に乗っていて、オーストラリアのジェラルトンにある港から出港する準備をしていたんです。ジェラルトンに行くには、ここサンフランシスコからシンガポールまで20時間くらい飛行機に乗って、一泊したり休憩したりした後、さらに6時間飛行機に乗ってパースへ行き、そこから車で7時間北上してジェラルトンに行かなければなりません。船で出発しようとしたら、Dapperを始めたロハム・ガレゴズロウが、「おい、予定が入ったぞ」と。船上でZOOMを使って彼と話し、Dapper Labsに資金を提供する契約を取り交わしました。

すべてはZOOMのおかげです。私の世界はとても自由でバーチャルなものになり、1年間あちこちでカイトサーフィンをしながら、どこにいても会社に資金を提供できるようになったのです。

ラウル ZOOMが爆発的に普及し、誰もが「これは過剰に評価されている」と思うようになった段階もありましたが、この話で興味深いのは、今あるユースケースは、このネットワークが使えることのほんの一部に過ぎないということです。

なぜなら、ZOOMは巨大なネットワークになったからです。 このネットワークは、たまたまビデオを中心に構築されたものですが、デジタルネットワークであるため、将来的にどのような価値があるのかというと、このネットワーク自体が価値になります。Amazonも本から始まりましたが、本を売ることが目的ではありませんでしたし、ZOOMもオンラインミーティングの普及がビジネスの目的ではないでしょう。

ビル そうですね。ZOOMは今やプラットフォームです。ZOOMがアプリストアとSDK(ソフトウェア開発キット)を開発し、人々がそれを利用できるようにするという発表を過去に見たことがある人もいるかもしれません。先月、ZOOMはベンチャーファンドの発表をしました。ZOOMの上で何かを作っている開発者がたくさんいるので、現在その小さなグループにも資金を提供しています。たとえば、その中には「Class Tech」があります。

また、コミュニティ構築の一部はコミュニケーションであり、コミュニケーションはコミュニティの基礎となります。 コミュニティがあれば、コマースができ、さまざまなトピックの垂直型のコミュニティができ、それ自体が自己生成的な経済となります。

ある意味、ZOOMは、世界中に一連のコミュニティを構築することを可能にします。アプリ開発者ファンドを発表したとき、小さなウェブページを立ち上げて、人々がアプリケーションと構築するものを入力できるようにしたんです。数日後には200社へ到達しました。 AppleのApp Storeのような規模になるかどうかはわかりません。しかし、誰もがZOOMを使っています。今は、自分たちに力を与え、何かを生み出すことができる関心のあるコミュニティがたくさんあります。

私はPledgelingという小さな企業にも資金を提供しましたが、その企業にはそのような取引を可能にする小さな技術があります。ZOOMバーのウィンドウに、「今すぐ寄付したいですか」と表示され、このプラグインをクリックすると、サイドバーに「ラウル・ポールが〇〇チャリティーに募金しました」と表示されるのです。

あらゆる種類の経済活動がデジタル技術によって解放され、それが指数関数的に進んでいるのです。

ZOOMのおかげで、資本のコスト構造、効率がずっとずっと良くなり、事業創造への資本の適用、オペレーションを走らせることができるようになるのも面白いことです。新型コロナウィルスの危機が去ったから、ZOOMを使おうとは思わない。もうZOOMを使うのをやめようと思うことはないのです。

ラウル この時代に生きているのは本当に幸運なことです。私たちはこの壊れた金融システムと多くの悲観主義の世界に生きてきました。しかし今、買う権利は売る権利よりも価値が高くなっていることがわかり始めています。

ビル ええ、このフレーズは大好きです。私がIVPのベンチャーキャピタリストだったとき、創業者のリード・デニースがよく言っていたことを思い出します。「正直言って、本当に幸せで裕福な悲観主義者はあまり知らない」ということです。楽観的に人生を歩むということは、とても大切なことなのです。大好きな言葉です。

日本のスタートアップが、ビル・タイのように力のあるスーパーエンジェル投資家と出会い、シリコンバレーという舞台から世界のエコシステムに参入できるチャンスはどのくらいあるのでしょうか。

将来的に起業を志す多くの起業家が、XTCを活用し資金調達やネットワークを得ることによって、社会的な課題の解決に向けて大きな貢献を果たす……そんなヴィジョンを思い描き、ビル・タイとヤン・ソンは、XTCを創設しました。

XTCの日本予選を勝ち抜くと、グローバルコンペでXTC創業者のビル・タイ、そしてヤン・ソンとの出会いがあります。そしてXTCのグローバル大会で2人に見出されたCanvaのように、日本のスタートアップが世界的なユニコーン企業になる未来も待っているかもしれません。

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